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ニュース | 2020年1月25日(土) 更新

香港の名優、アンソニー・ウォン来日記念 『淪落の人』舞台挨拶付き特別先行上映 レポート


2019年、公開と同時に香港中を涙と感動で包み大ヒットを記録した『淪落の人』(原題:淪落人/英題:STILL HUMAN)。

いよいよ2月1日(土)日本公開です。昨年12月、主人公のリョン・チョンウィンを演じる香港の名優アンソニー・ウォンが、映画のプロモーションとしては10数年ぶりに来日(その間にCM撮影などでは来日あり)。
12月3日(火)には新宿武蔵野館で舞台挨拶付き特別先行上映を行いました。この日の先行上映のチケットは発売後わずか4分で完売。公開に先立ち、注目の舞台挨拶の模様をお届けします。

映画上映前、大きな拍手の中、ステージに登壇したウォンは「コンバンワ、ゲンキデスカ?」と日本語であいさつ。

半身不随により、肩より下が動かない主人公チョンウィンという役のオファーを受けた理由について、「実はオリヴァー・チャン監督とは初対面でした。でも脚本の話をしているときに、誠意がある人だな、この人は人を騙さない人だなと思った。これがオファーを受けたひとつ目の理由でした。そしてふたつ目の理由として、この映画が特別であるということ。香港の商業映画ではこういう役柄は珍しいし、フィリピンの女優が主役を演じるのも今までになかったこと。物語もよかった。僕は特別なものが好きなので、引き受けることにしたんです」と明かしました。

本作は低予算映画で助成金を受けて製作していたため、ウォンに支払うことができるギャラも限られたものに。チャン監督は彼にそのことを正直に告げたといいます。「でも、わずかな金額を払ってもらうくらいなら、いっそのことノーギャラでしてくださいと言ったんです。その代わりこの映画がヒットしたら、その利益から支払ってもらうことにしたんです。もちろん宣伝費もなかったんですが、幸いなことにこの映画は口コミが広がり、多くの方が劇場に来て大ヒットとなりました。ですから今はギャラをいただけることを期待しているんですけど、今のところまだ一銭ももらっていないんですよ」と笑いながら明かしました。

また、半身不随で、厳格な身体コントロールを求められる車椅子での演技について、「いつも演技をするときに、手足が動かないように気をつけました。軽く押しただけで車椅子がフェラーリのように走り出してしまったことも、ぶつかりそうになって慌てて止めるといったこともありました」とその難しさを語ります。

現在、香港では「逃亡犯条例」改正案に端を発する抗議活動が激化しています。そんな現状について、「やはり香港の将来は、香港側が努力して勝ち取るしかありません。香港の若い人の勇気と見識に敬服しています。そしてもちろん若い人だけでなく、中年もいろんな階層の人たちも参加しています。それは今までになかったことで、香港の人間として誇りに思っています。また、日本のみなさんにも感謝しています。今まで日本と香港はお互いの文化が好きで、交流も盛んでした。これからも互いの未来のために一生懸命頑張りたいと思います」と力強く語りました。

そして最後に「ハンカチとティッシュはお持ちですか?これは香港のことで聞いてるわけじゃないですよ。これから観ていただく映画はティッシュペーパーやハンカチがないと困る映画なので。ぜひよろしくお願いします」と観客に呼びかけました。

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